マリーナ一神教

「手がかじかんでしまったの。とても冷たくて、少しいたいわ」

愛らしいマリーナ、俯いて言った

成長途上のマリーナの両手は、可哀想に乾燥して

握ると節がひび割れていた

かわいそうなマリーナ、僕は両手を包んでやった

少しでも暖まればいい

世界にぬくもりが乏しいこの季節

幸いにも僕は暖かいのだから

僕のぬくもりを吸って、生き延びて

僕の体までまとって、幸に満ちた季節にお行きなさい

「ああ、かわいそうなマリーナ。痛々しい手が早く治ればいい」

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